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なんひろの需給図鑑

あなたの理解できないその動き、ちゃんと'ワケ'があります!

まさかとは思いますが、この「クジラ」とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか?

こんにちは。昨日はザラ場はすさまじい動きでしたね。昨日の動きは記録する価値があるかと思います。

 

 

 

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【全市場値上がりランキング】

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始値比ランキング】

東証一部

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日経225

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東証二部

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・マザーズ

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JASDAQ

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さて、前回のブログでは日銀のETFの仕組みについて書きましたが、実はこれは日銀の買い入れの仕方を理解することが本当の目的ではなく、日銀の買い入れがどこの売買主体に含まれるか明らかにすることで、市場に蔓延る「クジラ」の正体を明らかにしようとするものです。今回はその導入です。

club109.hatenablog.com

 

日経平均株価は日本経済の本格的な回復期待や、GPIFを始めとする巨大年金基金のポートフォリオ改変に伴う先高感などによって2015/6/26にはITバブル期高値20833円を突破し、20952円まで値を付けました。

さて、ここで気になっているのはいわゆる「クジラ」の買い入れについてです。現在のところ確認されているクジラは8匹です。(いっぱいいますね...)

日本銀行年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、国家、地方公務員共済、私学共済、公務員共済組合連合会(KKR)、銀行等保有株式取得機構

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かのクジラたちの買い付け余力は30兆円近くと言われており、マーケットに与える影響は年初からITバブル高値を超えるまで一貫して日経平均株価は上がり続けましたが、マーケットでは大きな買いが入ると何でもかんでもクジラクジラと叫ばれ、高値でも買われる理由をクジラ(またはクジラの買い入れに伴う先高感)のせいにしてきました。でも、本当にそうなのでしょうか?

getnews.jp

 

これが投資主体別売買状況と日経平均株価の推移をまとめたものです。

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上記に挙げた年金基金の買いは、信託銀行経由で行われるので、投資主体別売買動向には信託銀行の買いとして記録されると言われています。

前回に述べたように、もし日銀の買いが自己に計上されるとしたら、信託銀行の買いは多くが年金基金ということとなり、年金基金による買いを推測することが出来ます。

 

ここからは2つのことがわかります。

2014年内は高値でも年金基金は買いに行っていること。

10月31日の追加緩和以降、日経平均株価は大きく値を上げましたが、信託銀行は強気に買いを入れていっている様子が見て取れます。通常であれば、年金基金の行動上、下げた時に買いを入れ、上げた時に売るという行動を取るはずですが、おそらく上げても売らず、下げた時に大きく買いを入れていたのではないかと推測します。追加緩和直後以降は大きく入ってこなかった外国人投資家の買いを補完し、日経平均株価の上昇を支えたと言ってもいいと思います。

 

2015年3月以降、信託銀行(年金基金)が売りにまわったこと。

日経平均株価が心理的な節目18000円を抜いてからは信託銀行のオペレーションに明確な変化が見られます。

日経平均株価が上昇する中で信託銀行は売りオペを始めています。これは年金基金が日経平均株価が18000円以上を天井と判断したのかもしれませんし、それともポートの組入率の関係なのかもしれません。私は、2014年に仕込んでいた株式の価格が2015年に入り大きく上昇し、(この時期としての)組み入れ比率的に十分なラインに到達したからだと考えています。実はクジラはお腹いっぱいなのかも...

しかしながら、マスコミがクジラクジラと騒ぎ始めたのは春先頃と記憶しています。アナリストも一斉にクジラの存在を下値支えの理由としていました。

 

 

 

しかし、実際には信託銀行はむしろ売っている方が多いですね。彼らの言うクジラとはいったい何なのでしょうか?クジラクジラと騒いでいながら、実はクジラなんていなかったのかもしれません(!)

春先からは信託銀行から外国人投資家にタッチ。大量保有報告書を見る限り、ブラックロックがこの相場を作っていたのではないでしょうか?

 

まさかとは思いますが、この「クジラ」とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか?

 

次回に続きます。

次回は実際にGPIFなどのポートフォリオを見て行きたいと思います。

 

【賛否両論!】謎多き"日銀のETF買いの"正体を考える~日銀の買いはどこに記録されるのか?~

こんにちは。

日経平均はあれよあれよという間に高値更新して15年ぶり高値。日本株はとどまるところを知りません\(^^)/

 

 

今日発表されたブラックロックの組み入れ報告。どれも冬から続く上げ相場の中で象徴的な動きをした銘柄であったのに気づいた人はどのくらいいたでしょうか?もしかしたらこの相場を作った『外人の買い』ってブラックロックだったのかも知れませんね。

 

 

 

さて、今日取り上げるのはこの相場のもうひとつの立役者、日銀のことです。

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日銀が異次元の金融緩和開始と同時に日本株ETFを買い入れを始めたのは衆知の事実でしょう。このETF買い入れ額が非常に大きいものであるために、日本株の相場は底支えされ、多少の下落はあってもアベノミクス開始以降8000円から20000円まで駆け上がってきました。

この株式のETF買い入れをやっているのは日本くらいなもので、実はFRBやECBでは行われていないオペレーションです。私は金利定価による企業への銀行貸し出しが十分に伸びないことを予め危惧した日銀による直接の資金供給(と、結果的には資産効果)を狙ったものだと考えていますが、詳しいところは専門家にお任せしますσ( ̄∇ ̄;)

 

さて、今回のテーマは日銀のETFの買いを捕捉するのがテーマです。毎週東証は投資部門別売買状況と言って、どの投資主体がどれくらい買ったか、売ったかを発表しています。その売買主体には実は日銀という主体はありません!
(知っている人には当たり前の話ですね。)

www.jpx.co.jp

では、日銀の買いはどこに計上されるのだろう?という疑問があります。

日銀の買いが計上されるとすれば、①信託②投信③銀行になりそうなものですが、どれだと思いますか?

私は ④自己(証券会社内部のディーラーなどの取引)に入ると考えています。
なぜ日銀の買いがどこに含まれるか気になるかというと、日銀の巨額の買い入れによってノイズが生まれており、どこに含まれるかを見誤ると正しく主体の行動を把握出来ない可能性があるからです。

日銀の買い入れには様々なうわさ、推測が流れており、日銀が公式発表してない以上、あくまで推測に過ぎないことを改めて言っております。
私の言うことが正しいとは限りませんし、また、他の方の考えを否定するものでもありません。
以下に述べることは私なりに限りある情報から推測したものです。一つの考えとしてお聞きください。

 

 ---

 

アベノミクス以降、この相場ではある水準まで日経平均が下げると日銀が出動しています。

そして、マーケットでも下げトレンドから突然上げトレンドに転換すると、日銀が買い入れているのか!?と話題になることも多くなりました。

 

 

 

日銀のETF買いがどこの投資主体に含まれるか突き止めるために、日銀がいったいどんなオペレーションによってETFを買い入れているのか考えてみます。

 

 

日銀が公式にETF買い入れ方法に関してきっちり言及しているのは『数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領』という長ったらしい名前の発表のみです。(ぜひ、読んでください。)以下、これを基本にしながら推測していきたいと思います。

指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領 :日本銀行 Bank of Japan

そして、私なりに考えてみたETF買い入れの流れが以下の図表です。

(2015年5月23日追記:厳密には日銀から始まる発注フローには運用会社は介在しないというご指摘を受けたので、指摘箇所を訂正しました。それに伴い図表と文章が一部差し替えられています。)

 

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Step①:ETF買い入れ発注の判断

まず、ステップとしてはETF買い入れを発注をするか/しないかを決める必要があります。

その発注基準は、
 
a. 日銀はマーケットの前場寄り付きと前場引けを判断タイミングとし、(判断タイミング)
b. 日経平均株価TOPIX、またはJPX400が、(対象)
c. 前場引けで前日比マイナス、または前場寄り付きが前日比"大きくマイナス"の場合、(判断基準)
 
日本銀行によるETF買い入れの発注を行う。
 
と私は考えています。
ただし、厳密な判断基準に関しては言及は避けます。日銀も発注基準に関しての言及は一切なく、私自身も出動基準はよくわかっていないからです。年間の合計買い入れ可能額によって日銀も出動基準を変えているようで、当初は-1%超えで出動のようでしたが、今では前場引けでマイナスであればどんどん買いに来ていますね。あと寄り付きがかなりのマイナスであれば、前場から入っているのかな、って時があります。(真偽不明)→なので、”大きくマイナス”の表現
 
なぜ後場で判断しないのか、後場から下げ始めても日銀が入ってこないのは、後場からの発注は間に合わない説を主張します(笑)
日銀の中でもETF買いの指示は銀行内で決裁が必要な可能性があります。また、どこの証券会社に発注し、さらに発注を受けた証券会社が準備をするまでにさらに時間がかかるため、後場の値幅を見て発注するのでは、間に合わない可能性があるからではないでしょうか。
 
 
Step②:信託銀行への買いの発注
そうして◯◯億円買っておいてねという日銀のETF買いは信託会社へと発注されます。(現在では一回のETF買い入れ額は360億円です。)日銀のETF買いの受注先は入札制によって行われます。日本銀行が2015年2月2日に発表している資料ではETF購入の受託者は三井住友銀行が0.0044BPSの手数料で落札したと発表しています。

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参照:

オペレーション等の受託者公募・選定 :日本銀行 Bank of Japan

なので、日本銀行からのETF買いの注文はまず信託銀行(三井住友信託銀行)にいくことになります。

 

Step③:信託銀行から指定参加者への発注

 

発注を受けた信託銀行はその額分だけのETFを用意する必要がありますが、信託銀行自体はETFを運用、発行はしていませんから(資産管理のみ)その額分だけのETFを証券会社(指定参加者、自己部門)に買い発注をします。(ちなみに日銀が買い入れるETFの種類は予め決められているようですが、発表はありません。)

 

そして発注を受けた証券会社は市場内からETFを買うのではなく、証券会社の自己部門ETF組成するための構成銘柄の現物株を発注します。即ち、既存のETFを買うのではなく、新規にETF組成するわけです。ETF発行のためには現物株の裏付けが必要なのでそれを調達してもらうように頼むわけです。集めた現物株を運用会社(投信)に持ち込み、ETFと交換してもらいます。

この辺のETF組成の仕組みについては難しいと思いますが、投資信託協会が解説してくれていますのでここに引用しておきます。

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株式拠出型ETFではまず、指定参加者(証券会社や機関投資家など)が市場で買い付けた現物株の集合(現物株バスケット)を運用会社に拠出し、それをもとに運用会社がETFを設定し、指定参加者は、運用会社よりETFの持分を示す「受益証券」を受け取ります。簡潔に言えば、指定参加者は、持っている現物株バスケットと、ETFを交換していることになります。逆に、指定参加者は、持っているETFと、現物株バスケットを交換することもできます。

現物株バスケットとETFは相互に交換できますので、本質的な価値は同一となり、現物株バスケットの動きとETFの価格の動きは連動します。例えば、現物株バスケットがすべてのTOPIX銘柄で構成されていれば、その現物株バスケットと交換できるETFTOPIXに連動することになります。

指定参加者に対して発行されたETFの受益証券が、証券取引所に上場され、一般の投資家は、上場されたETFの受益証券を市場で購入したり、売却したりすることでETFの取引を行います。

参照:ETFの仕組み - 投資信託協会

 

 

Step④:証券自己による現物株の市場からの調達

 

そして、発注を受けた指定参加者(厳密に言えば証券会社の自己部門)はETF組成のために必要な現物株を市場から調達を開始します。厳密に言えば、すでに自己部門が保有している現物株を引き当てることもあると思います。なので足りない分の現物株を市場から調達します。

ここで初めて市場とのコンタクトが発生します。日銀の発注からここまで幾度のStepがありましたが、ここに至るまで市場とのコンタクトが無いことは注目すべきことです。(後述)

これが市場参加者の目には「日銀が来た!」という動きとなって見えると考えています。発注を受けた彼らがこぞって安く現物株を買い集めようとするために、(そして発注額分だけ必ず集める必要がある)、日経平均が底上げされ、値下がりしていた日経平均が上がるというのが、いわゆる"日銀介入"の仕組みだと思います。

 

ところで、なぜ彼ら(自己部門)はわざわざ現物株を安く集めようとするのでしょうか?構成銘柄を引け間際にまとめて一気に買ってもいいわけです。それは日銀の買取価格が関係しているからだと思います。

日銀のETF買取価格については公式に発表があり、こういう記述があります。

 

5.買入価格

原則として、金融商品取引所における売買高加重平均価格または当該価格を目途として受託者が取引する価格とする。

 なので、ETFを加重平均価格(VWAPコスト)で買っているのは間違いないのですが、前場のVWAPなのか、後場のVWAPなのか、終日のVWAPなのか、と厳密な価格は言っていません。ですが、私は後場のVWAPコストETF買い取りだと思っています。なぜならば、前場のVWAPはありえないとして、日通しのVWAPであれば、後場から集めだした場合、受け回し時にマイナスになる可能性があるからです。(勿論後場で集めたとしてもマイナスになる可能性はあるが...)なので私は後場のVWAPでの受け渡し説を主張します。

 

 

以上のような買取価格上の決まりから、後場のVWAPを睨みながらできるだけ安く市場から現物株を集めようとします。なぜならば、現物株の値上がりが彼らの利益の源泉ではなく、日銀の引き取り価格(後場VWAP)と調達コストとの差(アービトラージ)が利益の源泉である、即ち、買い取り基準価格より安く集めれば、それが自己部門の+αの儲けとなるからです。彼らは現物株を集める傍ら、リスク中立化のために先物を売ってヘッジすると思いますから、これも自己部門先物売りの増加として表面化している原因だと思っています。

 

Step⑤:証券会社から現物株の運用会社への引き渡しと投資会社のETF組成、信託銀行へのETF引き渡し、信託銀行の日銀へのETF引き渡し

こうして証券自己部門によって集められた現物株はETF組成のために必要な分をETF組成する運用会社に引き渡されます。この取引は市場では出来ませんから、市場外取引で行われるはずです。この時にヘッジしていた先物の売りはOTC相対取引)で決済されると思います。

 そして運用会社は現物株バスケットをもとにETFを発行して証券会社に受け渡し(市場外取引)、次に証券会社は信託銀行に発注額分のETFを受け渡し市場外取引、最後に日銀から委託を受けた信託会社が発注額分のETFを市場外取引で渡して完了です。(日銀の公式発表では夕方ごろに買い入れ額が発表されますが、この立会外の取引は大口約定結果として確認出来ます。)日銀は信託銀行に報酬とETF額分の支払いを終え、初めて買い入れが終了するのです。

 

---

 

以上のような何段階にもわたる動きがあり、日銀のETF買い入れは完了します。約360億円のETFの買入するのにも大変なわけです。

 

以上のようなプロセスの存在を考えると、結果的に日銀のETF買いは証券会社の自己部門に記録される可能性が高いと考えています。なぜならば、東証を通じた市場との接触は証券会社の自己部門による現物株の買いのプロセスのみであるからです。計上される数字が買い入れ額と一致しないのは自己部門による独自の売買と、引き当てる現物株すべてを市場から調達しないからです。
ぜひ、数字での厳密な検討が行われることを望みます^^

 

なお、再掲ですがこれは完全に私の憶測に過ぎず、他の方の考えを否定するものでもありません。
日銀関係者もそこまでに関心も高く無いと思いますし(ましてや一般市場関係者なら...)、知っていたとしても公開しないでしょう。

 

では今日も、Happy Investing! :)
面白かったらツイートかはてなブックマークをしてくださいね^^

福井の雄、江守商事の悲劇〜'絶好調'から倒産へ〜 ①開示から見る倒産編

こんにちは。

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メイちゃんが来るのか、来ないのかでもはやオオカミ少年化している日本市場ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
日本市場は正念場ですが、今まで世界の中でも調子が良かった市場が崩れているのが気になります。(画像は5月7日時点)

ドイツ30種(DAX)

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インド30種(SENSEX)

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(どちらも出典はInvesting.com)

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(出典:株探)

日本市場には頑張って欲しいですね^^ 


さて本題。
今回取り上げるのは江守ホールディングス(9963)です。この会社、先月末に民事再生を発表、5月いっぱいで上場廃止になることが決まりました。普通であればお疲れ様でした、で終えるところですが、この会社の倒産は他の倒産とはちょっと違います。
東証一部上場企業である点
②直近売上高億円以上(つまり、絶好調)である点
③貸借銘柄(空売りが出来る)である点

すなわち、世間的に見れば圧倒的な優良企業の倒産(実質的に粉飾をしていました)という点で珍しいケースだと言えましょう。
この会社、四季報で実は大絶賛されていた企業の一つです。

 



そして実は株式市場では③の特徴のために非常に盛り上がった企業でありました。(「空売りしていた銘柄が倒産する」、という思惑、そしてもう一つ...(後述))

以上のように、江守HDの倒産からは非常に示唆深いものを感じます。なぜ優良企業が突然倒産するのか、なぜ優良企業が粉飾をする必要があっったのか、粉飾を事前に予測することは出来なかったのか...

今回は3本建て。みっつに分けてそれぞれ説明していきたいと思います。

 

①開示から見る倒産編 
手に汗握る悲劇の物語。江守商事に何が起こったのか、適時開示情報から倒産までの流れを追います。

 

②株価編 
倒産しそうなら空売りすればいいじゃないか、と思ったアナタは単純。株式市場では江守の倒産に懸けるもの、懸けないもので悲喜こもごもの動きがありました。そして尋常ではない額の空売りのペナルティが発生し、株式市場は更に盛り上がりました。ほころびが出始めてからの株価の記録です。

 

③粉飾編 
会社側は否定していますが、実質的に江守は粉飾を行っていました。そして膨張しすぎた図体に耐え切れなくなり、多額の貸し倒れ引当金を計上して倒産しました。しかしながら、過去の開示情報から江守の不自然さを見抜いていた人たちもいました。そこで、いかにすればこのような倒産から免れるのか、江守のファンダメンタルズ的な分析を交えながら解説したいと思います。

 

今回は開示から見る倒産編。まずは江守HDに何が起こったのか、適時開示から見て行きましょう。

 

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悲劇の始まりは2014年10月20日の開示からでした。

①悲劇の始まり

『業績予想の修正、貸倒引当金繰入額の計上及び配当予想の修正に関するお知らせ』

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/6e55abff/893a/4717/9c4d/30c6e0dc966e/140120141003053407.pdf

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修正の理由

当社の主力市場である中国においては、不動産開発投資と製造業の設備投資が調整局面を迎え ており、景気の先行きに不透明感が強まるなか、金融機関がリスク回避の必要性から融資を引き 締めております。かかる状況下、以下のとおり業績を見直しました。

(平成 27 年3月期第2四半期(累計)連結業績予想数値の修正)

中国子会社の一部得意先の資金繰り悪化により、売上債権の回収に疑義が生じたため、本日の 取締役会において、個別の貸倒引当金を計上することを決議いたしました。また、中国経済成長 の減速から総じて信用リスクが高まっている状況を考慮し、債務者区分の細分化及び引当率の見 直しを行い、これにより一般貸倒引当金についても追加計上することを決議いたしました。この 結果、第2四半期連結累計期間において、個別・一般合計で貸倒引当金繰入額 857 百万円を計上 いたします。 営業外損益では、人民元安の影響を受け、主に中国子会社のドル建借入金の評価替えから為替 差損が発生したほか、金融費用についても増加いたしました。

(平成 27 年3月期通期連結業績予想数値の修正)

通期連結業績予想についても中国経済動向を勘案し、中国子会社の今後の販売計画を見直すと ともに、直近までの業績動向も加味した結果、上記のとおり修正いたしました。

 ここで江守HDの業績の伸びをほぼ担ってきた中国事業に暗雲が立ち込めてきたので貸し倒れ引当金を積みましたとの開示。
今までものすごい成長で成長してきた(はず)の企業ですから、突然の急減速に驚いた人は多いでしょう。
江守HDはもはや2014年時点で中国事業におんぶ抱っこ状態ですから、ここがこけると大変なことになるということでここで江守に対して信用不安が高まり始めます。

注目すべきは開示の内容です。得意先が資金繰り悪化してる時点でオカシイ(普通であれば怪しい点があれば取引を徐々に縮小し、早めの貸し倒れ引当金を積み始めるはず...)ですが、その他の取引先にも懸念がありますよと言っているところに不安を感じました。しかしながらよく考えましょう。得意先が資金繰り悪化で貸し倒れ引当金は僅かに8億ちょっとです。売掛金の合計は億円ですから、それから考えると少なすぎる金額です。

 

ここで一回目の暴落が起こります。

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②中国事業の立役者が突然の左遷(2014年11月17日)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/c5aec18e/68a6/468c/a894/57fadc4d9662/140120141117082097.pdf

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上の人事異動表を御覧ください。
目につくのが『謝飛紅』という人の降格です。
この人、まず、出世のスピードが尋常ではありません。調べてみると中国江守の副経理になってから年で江守の本社取締役まで出世しています。
そして一緒に江守グループの売り上げの伸びを見ていましょう。この人が就任してから急激に伸びています。ここから考えるに、この『謝飛紅』という人物が江守伸長の立役者と言うことが出来るでしょう。そういった人物が数億円の損失で突如としてマーケティング担当に降格となるのはただごとではありません。

 

そして大きな不安を抱えたまま年が明けます....

 

 

③ついに崩壊が露わに(2015年2月6日)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/453d9d57/17f8/43ca/bc92/85d09bcb3480/140120150206021197.pdf

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そして年が明け、ついに動き始めます。
2015年2月6日、貸し倒れ引当金を更に積み増すことが発表されます。その額約6億5千万円。先の発表とそう変わらない額です。そして注目すべきは売掛金にかけていたはずの保険金を受け取れなくなった、というものです。

これらの得意先に対する売掛金については、取引信用保険を付保していたため、第2四半期 の決算において売上債権金額から保険金回収見込額を控除の上、貸倒引当金を計上しておりま した。 これまで当社は、申請中の保険に関して保険会社と協議を続けて参りましたが、この度、保 険会社との協議がまとまり、対象保険の一部の支払いを受けられなくなりました。その理由は、 中国子会社が保険契約上の義務(通知義務、損害発生防止義務等)を怠ったというものです。

その理由が「中国子会社が保険契約上の義務(通知義務、損害発生防止義務等)を怠ったというものです。」というものですから、"取引先の資金繰りが悪化していることを知りながら"、保険の契約を結び、保険金をかすめ取ろうとしていた可能性すらあります。

 

④決算遅延(2015年2月6日)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/cc11f0af/2e5a/4862/934b/c05557f9d284/140120150206021192.pdf

そして同日、決算の遅延が発表されます。決算の遅延は通常の上場企業であればありえないこと。何らかの重大な問題が発生しない限り、決算の遅延を決断することはありません。これで今までの開示がただの特別損失と思っていた人たちもようやくことの重大さに気付き始めます。

当社は、2月9日の決算発表及びその後の四半期報告書の提出に向けて準備を進めてまい りました。しかしながら、中国経済の急激な減速を受けて中国連結子会社における売掛金の 回収可能性に疑義が生じており、大口得意先に対する貸倒引当金についてはこの第3四半期 において積み増しを検討せざるを得ない状況になっていることから、決算作業に遅れが生じ ております。具体的には、貸倒引当金の見積りに際して直近の得意先の財政状態や売掛金の 入金状況、担保設定の状況や取引信用保険の付保状況を慎重に精査したうえで、数値確定の 作業を進めており、その見積りに多くの時間を要しております。また、当社の監査法人から も、この貸倒引当金の監査に際しては、通常の四半期レビューにおける手続きと比べて追加 的な監査手続きが必要であり、監査終了には時間を要する旨の連絡を受けております。

とあり、おそらく監査法人から中国事業の取引先の信用状況をすべて再調査せよとの仰せがあったのと予想します。こういったところにただごとではなさを感じます。日頃からきちんと信用状況を確認しておけばこういった必要は無いわけで、普段の取引の杜撰さを感じます。おそらく、売上至上主義で相手の信用は度外視だったのでしょうね。(バブル期みたいだ...)

 

ここで2回めの暴落が起こります。

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⑤突然の財務担当役員の辞任(2015年2月9日)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/62bcc1f1/1f65/4d9d/9ec1/f7142145481a/140120150209022364.pdf

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私はここで非常にきな臭いものを感じたのですが、江守HDの決算を担当してきた財務統括役員が"一身上の都合により"退職したと発表します。決算が遅延し、貸し倒れ引当金の再試算を行わなければならない重大局面に、財務統括役員が辞任するなんて責任感もなにもありません。辞めるにせよ、この忙しい時期に一区切りつけてから辞めてもいいはずです。
このタイミングで辞めるならば(実際にそうでなかったとしても)何かやましいことがあって逃亡したとしか考えられません。
ますます江守の決算に対する疑念が高まっていくます。

 

 

⑥更なる中国調査へ(2/14)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/d81b173c/1d0d/4e69/8e14/d2b24d463797/140120150210023612.pdf

 

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だんだんと小出しでヤバそうな開示を出してきますが、ついに取引先が実質的な破綻だったとお笑い開示。そしてやはり情報の非提供や違法取引(おそらく循環取引のこと)があったとのこと。今まで燦然と輝いていた中国事業がどうやら真っ黒だったっぽいということで疑念がだんだんと確信に変わってゆきます。

 

 

そして前後して新卒採用の中止が...

 

 

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⑦調査結果の中間報告(3/2)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/edcd336b/f3f7/4b99/97a4/cae47d08fac3/140120150302402003.pdf

取引の妥当性に関する調査については、上記弁護士事務所より、2月末を目処に進めてきた、 関係者の聞き取りをはじめとする中国現地における調査が一通り完了し、現在、聞き取り結果の 精査・検討及び電話による追加の聞き取り調査等を行っているとの報告を受けております。なお、 現時点では懸念していた重大な事実は検出されておりません。 売上の実在性に関する調査については、監査法人による監査の一環として現在も進行中であり、 今後、貸倒引当金の計上額等の監査結果と併せて調査結果の報告を受ける予定です。 重大な内部規則違反に関する調査については、決算の修正や注記の追加の原因となって監査法 人の監査に影響を及ぼしうる事項から先行して、中国現地における調査・資料収集を行っており ますが、現時点では懸念していた重大な事実は検出されておりません。なお、当該事項以外につ いては今後も引き続き、コンプライアンス関連の社内活動において必要な対応を行ってまいりま す。

中間報告によれば、売上の実在性については疑念の含みを残しつつも、その他の項目に関しては新たな問題は出てこなさそうな表現であり、全体を通して読めば、ポジティブな内容のIRとして捉えることが出来ます。

中間報告によって安心したり、空売りを買い戻してしまった人もいるでしょう。これで一段水準が上がり、売り方は更に厳しい勝負を強いられます。3月16日の提出期限ギリギリまで決算は出さないことを最後の文章でリリースしていますから、売り方はそれまでにどうするか決めなければなりませんでした。

 

実際、市場はこの結果をポジティブに受け取り、株価は暴騰。

一段上の水準で結果を待つことになりました。

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そして運命の3月16日...

 

 

 

 

⑧疑義注記転落(3/16)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/d4015c24/773a/4ee1/8adb/11ee26fc731c/140120150316413092.pdf

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⑨業績修正(3/16)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/ac9d59e6/05f8/4027/ba15/eabe43e18ae3/140120150313412460.pdf

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⑩粉飾発覚(3/16)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/cc4df485/e9e8/4b58/9950/4adda168cf64/140120150316413709.pdf

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www.fukuishimbun.co.jp

貸し倒れ引当金をなんと約480億円引き当てることを発表!
今まで大事に貯めこんできた利益剰余金をすべて吐き出してもなお余りある赤字のために、債務超過に一発転落してしまいました。

何が起こったのか簡単にまとめると、

①中国で不正な売上を計上し、売上の水増しを行っていた
②中国での取引のうち、その7割が回収できない可能性発生
③その結果、多額の貸し倒れ引当金を積まなければならなくなり、特別損失に計上
債務超過

 という流れになります。

 

この債務超過という状態は非常にまずく、通常であれば決算またいで1年で上場廃止となります。債務超過額が240億なのでこの状態を1年で解消する必要があり、現実的に現在のキャッシュ・フローで返済することは不可能なので、対応策は①借金を減らす②代わりに払ってくれる人を探す③踏み倒すしかありません。
①の方法としてはデット・エクイティ・スワップ(DES)という方法があります。これは負債を株式に転換して、負債を減らし、純資産を増やすという魔法のような方法があり、多額の債務を抱えた企業がよくやる手法です。
ですが勿論デメリットが有り、株式の発行枚数が大幅に増加しますから、EPSが希薄化され株価の暴落を招きます。
②としては企業再生ファンドなどから資金を注入してもらい、時間をかけて負債を返済していく方法。こちらも同時に株式の希薄化を招くことが多いですが。。。
私は会社の記者会見で民事再生をしないと言っていたので、DESの発行によって乗り切るものだと思っていました。

 

 

これにより4連続ストップ安を演出。3度めの暴落です。900円近くあったものが300円前半台まで落ち、売り方大勝利!のように見えました。
が、この後謎のストップ高3連発により、株価は500円台に再び定着。売り方は再び安心できない水準で買い戻すか、買い戻さないかの判断を迫られることとなります。

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⑪中国から撤退決定(4/16)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/9f7a4ffe/e4ab/4828/9d56/e21524842d76/140120150416441532.pdf

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そしてついに中国事業からの撤退を発表。江守は中国事業が8割を占めているのに撤退したら何が残るというのでしょうか。。。そしてリストラ費用など事業縮小費用などによってまた特別損失発生とのこと.... しかしその額はまだ確定せず、計算できません!!!みたいな感じで、だんだんと投げやりになってきている様が見れます。

 

 

 

⑫そして破産へ(4/30)

http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70163/9239f0be/b4a9/40af/8ba0/4df599b1f7f6/140120150501460124.pdf

 

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www.nikkei.com

ついに最後には白旗を上げることになりました。
企業規模に対しあまりに債務が大きすぎたのでしょう。民事再生による更生手続きを受けることになります。これにより、上場廃止が決定され、本文中にもあるように資産をすべて売却しても株主に残る資産も無いということで、株券の価値が名実(期待?)ともにゼロとなります。
さて、ここで面白いのが支援企業です。まずは株式会社興和ですが、これは名古屋の未上場ながらも優良企業として一部の人たちの間では有名で、結構CMを打っているので興和と聞いてもピンと来ないが、キューピーコーワと聞けばわかる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

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また、業績不振に陥っていた株式会社白元からホッカイロ事業を譲り受けたり、これまた業績不振の丸栄に出資したりと、企業再生屋として有名な企業です。(現在では民事再生後に白元本体はアース製薬に譲渡)

また、株式会社ジェイ・ウィル・パートナーズ は日本人による企業再生ファンドとして有名であり、地銀の合併案件など地方企業の再生をたくさんこなしており、地銀の駆け込み寺ともして知られています。
(ところで探していたらこんな記事を見つけました...w)

地域経済は国内資金で再生 大きなうねりで活躍するファンド(後)~(株)ジェイ・ウィル・パートナーズ:|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース

全国各地の地銀と協力して地場企業の再建をした事例は枚挙にいとまがないが、ごく最近では今年2月15日、「福井県ふるさと企業再生ファンド」を設立し福井県内の中小企業の再建に乗り出した

江守商事の再建は、福井銀行のこういうつながりから決められたのかもしれませんね。

 

いかがでしたでしょうか?江守HDの様子がだんだんとおかしくなっていくさまがご理解できたでしょうか?

現在の江守の価格は5月8日の時点で52円もの価格がついています。1ヶ月満たない先にはゼロ円になる株式が52円も付いているのはマネーゲーム期待でしかありません。
スカイマークも同条件でも20円程度であったのに、なぜこんなに差がつくのでしょうか。
その理由は、江守の株式上の特徴にあると考えています。
それは次回、江守の株価の動きも見ながらじっくり説明していきたいと思います。

 

では今日も、Happy Investing! :)

 

 

【日経2万円はバブル?】失われた20年、なぜ日本株は下げ続けたのか〜バブル期から大きく変わった日本市場〜

こんにちは。
日経平均株価20000円突破おめでとうございます^^

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(出典:株探より)
日経平均が20000円を突破するのは実に15年ぶり!昔から株をやっている人以外は、日経平均5桁目が「2」になるのを見るのは初めてという方も多いかと思います。
人間見慣れないものを見ると過度に警戒してしまうのが性で、今まで私達はずっと数千円から一万いくらまでの数字で「調教」されてきたので、「20000」という数字を見ると、「高い」と感じてしまうかもしれません。
日経平均20000円超えとともにたくさんの記事が書かれました。

 

15年ぶり!日経平均株価2万円到達は果たしてバブル? | ZUU online

www.nikkei.com

www.nikkei.com

様々なアナリストやエコノミストが今の水準がバブルかバブルでないか、今は買いなのか売りなのか論評していますが、そもそもバブルとはどういった状況を指すのか、誰が買っているのか明らかにせずに論じている気もしてなりません。

日本市場は本当にバブルなのでしょうか?
私は今回も、そして今後も日本株にバブルが来ることは無いと思っています。

理由はただひとつ。

 日本株を買っているのはもはや日本人ではない」

からです。

なぜ日本株はバブルでは無いのか説明する前に、まず実はバブル期からマーケットの買い手が変貌していることを理解する必要がありますので、順を追って説明します。
それが理解できれば、失われた20年と呼ばれるバブル期以降の期間、日本株は下げ続けたかもクリアに理解できるようになります。

 

簡単にまとめると以下のようになります。

バブル期のドメスティックなマーケットとは違い日本市場はグローバルなマーケットに変容した。今の買い手は外国人投資家。外国人投資家の基準で割高となれば即価格訂正が行われる。

②バブル時代は日経平均に対するPERが70倍を超える異常な状況であり、当時の日本企業にそんな稼ぐ力はなく、日本株の買い手が徐々に外国人投資家になっていく中で''世界水準''の価格に訂正されていった。→これが失われた20年の正体

日経平均20000円がバブルでない理由)

・日本企業の稼ぐ力(経常利益、EPS)がアベノミクス以降世界的景気回復と円安により飛躍的に高まり、リーマン・ショック以前の状況を超えていていること。

・異次元の金融緩和によりリスク資産への投資の許容度が上がっており、株式への資金流入が以前に比べると増えていること。(株高への期待の高まり)

 

 

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まず日本株日経平均)の長期チャートを見てみましょう。
みなさんよくご存知の通り、バブル期を頂点として、ずーっと低迷し続けるように見える日本株の悲惨な姿がそこにはあります。

f:id:nyanhiro:20150430081523j:plain なぜバブル期は利益水準とかけ離れてまで買われたのか、そしてなぜ日本株はバブル期の水準まで値を戻すことが出来ないのか。

それは日本株売買主体を考えることで見えてきます。考え方としてはとてもシンプルなものなので、逆に聞いてみたら肩透かしを食らうかもしれません。

 

日本の株式市場において最も変わったのは日本株を実際に買ったり売ったりしている主体です。当然ながら、市場において最も売買シェアの高い主体の売買動向が、実際のマーケットの株価形成に影響を与えます。ですので、影響力のある売買主体の思考を考えることで、実際にマーケットの株価が形成していくか予測することができます

ではさっそく売買主体の推移を見てみましょう。

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(出典:三菱UFJリサーチアンドコンサルティング

こうして見ると、バブル期までの日本市場がいかにドメスティックなマーケットであったことかお分かり頂けると思います。1989年の時点では本邦勢の売買シェアは80%を超えていました。バブルの時に株を買っていたのは日本人であり、日本の金融機関でありました。ですから日本株には日本人の期待が最も強く反映されます。当時、気にする株式の指標などなく、日本の経済は明るい、土地、株はまだ無限に上がる、と信じていた日本人でありましたから、日本株も無限に上がり続けたのでした。このバブルの崩壊は別に日本人が無限に上がるとは思わなくなったからではなく、政府の政策によって人為的に破壊されたものでしたので(ここらへんは書きたいことが山ほどありますが省略)、政府が何もしなければ日経平均4万円でも10万円でもあり得たと私は考えています。
(実は今まさにバブルの中国株も同じ構図なのです!)

 

さて、現在のマーケットの売買主体はどうなっているでしょうか。バブル崩壊以降、日本人による株の売買は大きく減り、特に日本人個人の売買はめっきり少なくなってしまいました。市場が回復してもなかなか日本人による売買は増えず、変わって売買を増やしていったのは外国人です。バブル期前は10%前後に過ぎなかった外国人による売買は年々シェアを伸ばし続け、現在では市場売買代金のうち、実に50%を優に超える水準のシェアを誇っています。ですから日本市場の流れを決めるのも外国人になるのも当然です。寄り付き前売買動向を気にする人が多いのも、外国人動向を見極めたいからですね。ですから現在の市場は外国人の思考で動かされているということを常に頭に入れておくことが大事です。
彼らが高いと思う水準であれば売られますし、安いと思う水準になれば買われるわけです。

以上のように、現在の日本株は外国人によって買われていること、市場は外国人投資家によって支配されている、ということを頭に入れておく必要があります。

 

では、彼らが割高、割安と感じる水準とはいったい何なのでしょうか。
それは、日本企業の稼ぐ力(EPS)とそれに対する期待の高さ(PER)によって判断します。

EPSとは、一株あたりの純利益のことです。日経平均株価にもEPSがあり、日経平均株価に採用されている225銘柄の各社EPSに特殊な数字をかけて算出されています。
そしてもうひとつ、PERという指標があります。PERは株価の割安さを測る指標であり、一株あたりの利益(EPS)に対して、株価がどれくらい高くプライシングされているかを示すものです。私はPERは「その企業の業績の先行きに対する期待の高さ」だと捉えています。過去に比べて、PERの数値が高くなれば企業の業績に対する先高期待が強まっているといえるでしょう。

 

ではさっそく日経平均PERの推移を見てみましょう。

バブル期にはなんと70倍ちかくあったものが、現在では10数倍程度。昔に比べると驚きの健全さです。バブル後の底値でさえPERが30倍を超えており、今から考えればちっとも割安ではありません。むしろ割高です。

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(出典:日本経済新聞

 

ここまで来ればカンのいい人たちはなぜ日本株は下げ続けたのかわかったかもしれません。
ここまで健全な日本市場になったのは、私は先ほど挙げた日本市場におけるプレーヤーが変わったからだと思っています。日本市場におけるプレーヤーは日本人から外国人に変わり、彼らの信じる指標、水準が持ち込まれ、彼らが納得する水準まで訂正されたのです。外国人投資家は別に日本市場だけではなく、様々な海外市場を見て各国株式の割安さを判断しますから、世界基準で見て割高であれば水準訂正が行われます。上の図を見てわかるように、欧米の株式におけるPER水準は平均すると15倍程度に収まります。この水準が彼ら外国人投資家の考える基準なわけです。アメリカやドイツに比べると最近までの日本株は業績に対してあまりに割高な水準である一方で、日本がアメリカやドイツに比べて高い成長率があるわけもない(むしろ低い)ですから、割高な状況が許容されるわけがありません。当時の日本企業の稼ぐ力は今に比べるとずっと低かったわけで、その日本企業に高い評価を与えていた市場は今では理解できませんね。当時このような株価が正当化されたのも、買い手が上に挙げたような基準を持たない日本人だったからです。そして買い手が日本人から外国人に変わっていく中で徐々に日本株の割高さも訂正され、現在ではグローバルなマーケットとほぼ変わらない水準の範囲内までようやく訂正されたわけです。私はこれが失われた20年で株価が下げ続けた理由だと思っています。

 

 

【最後に:日経平均20000円は本当にバブルなのか?】

さて、最後に現在の日本市場は本当にバブルなのか検証してみましょう。
まずはじめに現在の日経平均EPSとPERを見てみます。

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(出典:NIKKEI225JP)

現在の日経平均20000円を前にして日経平均EPSは約1100円、PERは約18倍となっています。

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(出典:NIKKEI225JP)

長らく日経平均PERは14倍〜16倍の水準でうろうろしていましたが、ついにこの水準をブレイク。現在ではなんと18倍まで到達しています。近年では2013年の5.23ショック以降無かった水準です。

 

アベノミクス以降、日本企業の稼ぐ力は伸び続け、現在ではリーマン・ショック前の水準を超えるところまで来ています。そしてこれからの円安期待は強く、日銀の異次元緩和によりマーケットには今までに無いほど資金が供給されているため、リーマン・ショック前の水準よりPER(期待)が高まっても許容できる範囲だと思います。現在の日経平均EPSは約1100円、日経平均PERは約18倍ですので、ぎりぎり適切な範囲といえるでしょう(敢えてバブルと言いたいならプチプチバブルくらい)日経平均が2万円を越えようとも、決してバブルではなく、むしろあまりに過小評価されていた日本企業が再評価されたというポジティブな結果だと捉えていいと思います。

 

但し、いくら日本企業の稼ぐ力が高まっていようとも、期待が高まりすぎると暴落によって水準は訂されます。
現在の世界の株価水準を見てみましょう。データの出処が違うので数値に少しブレが見られますが、相対的な割高さ割安さは変わらないはずです。

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(出典:わたしのインデックス)

グローバルな目線で見た時、現在の日本株の水準はかなり割高なところまで接近しており、水準訂正があってもおかしくない状況です。ありそうな下落きっかけとしては2つ考えられます。

 

日本企業の予想利益がアナリストの予想に達しないことがはっきりした時
現在アナリストたちは日経平均EPSは20%程度増益の1350円まで行くと予想しているようです。単純に考えて各社20%以上増益予想を出すというのは可能なのでしょうか。もし、この水準をクリア出来たら、利益水準訂正と日本株に対する更なる期待の上昇により、まさに日経平均2万は通過点となることでしょう(^^)
これから本格的に決算発表が始まりますが、大事なのは前期いくら利益を出したかではなく、今期いくら利益を出せるかです。(今のところ、企業の予想利益はかなり保守的なようです・・・)

4月30日に日銀が追加緩和をしなかった場合

金融や証券株の動きを見る限り、マーケットはかなりの確率で日銀が追加緩和をする方向にベットしているようです。もし日銀が追加緩和をしなかった場合、期待が剥落し日本株下落のきっかけになるかもしれません。マーケットは下げる理由を探しているはずです。

 

 

日経平均もこうした見方をすれば本当にバブルなのかバブルでないか判断することが出来ます。決して値ごろ感からバブルだ、なんて言うのはやめましょうね。
では今日も、Happy Investing! :)

 

 

【記事追記】ついに河合楽器の筆頭株主に踊り出た韓国企業、そして不自然に売られまくるマツダ(オマケ)

こんにちは。

近頃の日経平均はドンパチドンパチとんでもない動きばかりしていますね。
見た感じ、ニューショートというよりは戻りに利確売りみたいなのをぶつけられてる感じかなと思いました。
相場つきはもはや目標2万を目指していた時とは変わりつつあることは意識した方がいいですね。

ところで2万円を目指していた時の動き、昨秋から冬にかけてダウが最高値を目指していた時の動きとなんとなーく似ている気がするんですよね。押し目を作らず無限に買い上げていく感じが。もしかしたら買い上げてた主体が一緒だったりして笑。こういう動きは乗らないと勿体無いですネ。

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さて、先日取り上げた河合楽器製作所の件ですが、新たな動きがありました。
ブログで取り上げた後も三益楽器が買い増しを続け、ついにその比率が10%を超えたことがわかりました。

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河合楽器からも正式開示がありました。

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実は大株主から見ると既に圧倒的1位株主になっていることがわかります。

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今期の株主一覧で1位株主に出現するのは間違いなさそうですね。

 

三益楽器が河合楽器にどんなアクションを取りたいのでしょうか?

持ち株10%超えはもはや資本提携レベルですね。河合楽器はおそらく一株足りとも三益楽器の株を持っていませんが...笑
また、河合楽器の企業分析も交えながら気が向いたら取り上げてみたいとおもいます。

 

 

さて、最後に、最近気になった銘柄を挙げたいと思います。
〈7246〉マツダです。チャートをご覧下さい。

 

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日経平均が暴騰しているにもかかわらず、マツダだけは蚊帳の外。

他の自動車メーカーはすんごく上がっているにも関わらずですよ?パフォーマンスの差は歴然です。

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私はこの動き、原油価格下落に伴うサウジ系ファンドの撤退売ではないかと踏んでいます。オイルマネーの逆流かも知れません。

マツダには、SAJAPというサウジ系ファンドが大株主として株を持っていて、そこが売っているのではないでしょうか。勿論持ち株をすべて売却することはないので、他の銘柄も売っているとは限りません。実際、大株主として軒を連ねている銘柄でも上がっている株はたくさんあります。(良品計画とかね。)

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ちなみに元ネタがあるので上げておきます。年初に作られた記事です。

 

www.nikkei.com

「今年のテーマとして注意喚起したい」。野村証券の吉本元シニアエコノミストは16日付で「原油安下のオイルマネー」と題したリポートを配信した。原油安が続くと産油国の投資資金が縮小に転じると分析する内容だ。産油国マネーの先行きに対する問い合わせが、シンクタンクなどでにわかに増え始めた。

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 産油国は原油収入を世界各国の国債や株式、不動産などに投じている。ノルウェー政府年金基金、サウジアラビア通貨庁など原油を収入基盤とする政府系ファンドSWF)の資産は大手4つだけでも3兆ドル(約350兆円)と世界の運用資産の5%程度を占めるとみられる。通称オイルマネー。いまだ他の投資家を圧倒する存在感をみせる。

 

画像の拡大

 

 そのオイルマネーの逆流に警戒感が高まっている。原油価格が40ドル台に低下し、推定50~130ドルとされる産油国の経常収支や財政収支の均衡水準をも下回ってきた。外貨準備が増えず新規投資が縮小するだけでなく、財政赤字を補うため資産売却を進め、日本株も対象となる可能性がある。

(上記記事より)

 

一応、上に挙げられた銘柄のパフォーマンスも見ておきましょう。

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まちまちな感じですから、一概にサウジ系ファンドの売りとは言えないかもしれないです。

 

仮にもマツダだけファンダメンタルズの変化が起こっていたとしても、すこし異常な感じがするので取り上げてみました。
大量保有報告書が出て、どういう動きがあったのかわかるといいんですけどね。 

 

 

 

むちゃくちゃな動きをしている日経平均

休むも相場です^^

では今日もHappy Investing! 

日本の誇る楽器メーカーに忍び寄る韓国企業の影

また一つ面白そうな企業を見つけました。

<7952>河合楽器です。
もしかしたら韓国のライバル企業による買収やTOBを含めた経営への発言の可能性があるかもと思い、取り上げてみます。

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まずはチャートを御覧ください。前回に引き続き、美しい陽線続きのチャートの形が11月から12月までと3月に2回出現しています。

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河合楽器といえば音楽をやっている人ならお馴染み、やってなくても名前くらいは知っている有名な楽器メーカーですね。世界に誇れる質の高いピアノを製造しています。(ピアノ生産シェア世界第二位!)
 
さて、先日この河合楽器の株式を密かに買い集めている主体がいることが明らかにされました。三益楽器という韓国の楽器メーカーが市場から株を集めていたのです!
 
昨日、3/23付けの大量保有報告書(厳密に言うと変更報告書)をご覧ください。
2月末から継続的に市場から取得を続けており、提出時点で保有比率は7.28%となっています。

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投資目的は「純投資」でありますが、純投資から政策投資に発展することは果たしてあるのでしょうか?
自分の記憶だと〈2588〉ウォーターダイレクトにおける光通信ですかね。上場後第三者割当増資でひょっこりと大株主に顔を出した光通信が保有量を増やし、最終的にTOBをしていましたね。(ただ、このケースは市場ではなく会社から株を割り当てられているので一概に比較はできません。)
 
この三益楽器、かなりの成長志向の企業と見受けられ、世界中で楽器メーカーを買収しており、もしかしたら河合楽器もそのターゲットの一部になっている可能性があります。

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(サミックホームページより http://www.samick.jp/about.html

blog.goo.ne.jp

実は大量保有報告書への初出はこれではなく、昨年の12月に遡ります。当時も着目していましたがその後アクションがなかったのでもう買うのはやめたのかな思っていましたが、しばらくの時をあけて再登場です。
ところで三益楽器(ブランド名サミック)を知っているか、回りの音楽をやっている友人に聞いたところ、誰も知りませんでした。日本ではあまり有名ではないようですね。
日本ではギターを中心に楽器を販売しているようです。

SAMICKJAPAN(サミックジャパン) OFFICIALWEBSITE PRODUCTS【エレクトリックギター】Greg Bennett

 

一方で河合楽器は、ここのところ業績は低迷しており、学研と業務提携をして教育関連へと力をいれようとしてますが直近では下方修正を発表するなど、依然として業績がよくなるビジョンが見えてきません。
同社は未だ世襲経営を続けており、将来の成長に向けて何らかのアクションが会社内部からも起こってくる可能性も考えられます。

 
もし、河合楽器資本提携がしたいのであればわざわざ市場から買い集める必要はなく、堂々と会社と交渉して割り当て増資なり株式交換をすればいいわけで、株式市場でわざわざ買い付けに来ているところに何か後ろめたさを感じます。
三益楽器が株主総会でどうのこうの言うことは考えにくいので、株券を集めているのは何らかの意図があるのではないでしょうか。
ましてや同じ楽器メーカーですから、相手メーカーによる無言の市場からの買い付けは警戒せざるを得ません。
一番あり得そうな展開は、発言権を盾に経営に対し何からの発言があることでしょうか。
おもしろいなという展開は、資本参加や買収を含めたTOBへの発展です。
ただ、市場から集めることは不可能ですので、その場合は堂々とTOBないしは買収発表をするでしょうね。
 
よし、寄り付きで買おうと思った方、手出し無用です。
最近の河合楽器の動きは三益楽器が買っている間は上がり、買ってないときは下がっていますから(あくまで推定ですが...)、この高値圏で梯子を外されれば上がっていくのは難しいかもしれません。一応空売りはかなり入っていますが取り立てて言うほどでもありません。
一方で空売りもまだまだ買い上がる可能性も考えられるので、簡単に踏み上げられる可能性があります。なので手出し無用。
限りなく可能性の低いゴタゴタに期待するより、おとなしく日経225採用銘柄を買っておいた方がよっぽど儲かるかと思います。笑
ただ、時価総額は未だ200億程度で貸借でもあるので、何か起こったときは妙味がありそうですね。大塚家具のスタートも200億程度でした。事が起こってから入っても十分に間に合うのは大塚家具が証明しています。
 
死にゆく楽器メーカー周りの動きにも注目です^^
 
 
【さいごに】
 
浮動株と買い占めの関係を2本続けてお送りしましたが、今回はそれが局地に至った話で締めたいと思います。

 

時価総額世界一はフォルクスワーゲン-史上最大級の踏み上げ相場 | 投資経済データリンク

 

リーマン・ショックが起こり、世界中の景気が悪くなることが予想される中で、世界中のヘッジファンドが(今はもう出来ないと思いますが)手当てのない空売りVWに対して猛然と行いました。

そしてある日突然、ポルシェが密かにVWの株式を取得していたことを発表し、その空売りのポジションが浮動株を越えて溜まっていることが発覚したとき、一斉に買い戻しに走ったという話です。

もはや言い値で買うしか空売りを解消することが出来ませんから、株価は暴騰し、時価総額世界一になったそうです。
(その後、壮絶な往って来いを演じたそうですが...w)
 
株券は発行されている量と、市場で流通している量は別です。
市場にある浮動株と将来の買いポジションの量を意識すると企業の株価の動きをまた違った目線で見れるかもしれませんね。
 
では、今日もHappy Investing!
 
※このブログは特定の銘柄の売買を推奨するものではありませんし、また、売買の結果生じた損失についても責任は負えません。
 

今、東京個別学院がキナ臭い。前社長が株を買い占め中。

個別銘柄 内部紛争 株主総会 空売り

こんにちは。はじめまして、なんひろと申します。主にマクロ環境の変化と需給の動向に応じた投資手法を基本としています。このブログでは、マーケットのなかで気になる動きをしている銘柄を取り上げ、なぜその動きをするのか考察して公開し、少しでも投資の役にたてればいいなと思い開設しました。

 

さて、一発目は<4745>東京個別指導学院を取り上げてみたいと思います。

もしかしたら現在、経営には関わっていない、東京個別学院の前社長が株主総会でなんらかのアクションを起こす可能性があり、社内でのどろどろしたキナ臭い動きがあるかもと思い取り上げました。

東京個別指導学院は本日(3月18日時点)、664円 +100円 をつけ、ストップ高となりました。

さっそく、チャートを見てみましょう。

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ほぼ陽線しか無い非常に美しいチャートですね。こんなに美しいチャートはそうお見えすることは出来ません。最近だとアルプス技研<4641>ですかね。神の銘柄です。

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下に抜けてしまうような陰線を二本出してしまったので、下に抜けるかもしれませんね。天井圏で大きめの大陰線を引いて、再度陰線を引くとトレンド転換の可能性があります。



さて、この東京個別指導学院は何が起こっているのでしょうか?
これほどまでに陽線を引き続けるのはなにか理由があるはずです。
私は2つの要因があると考えています。

 

①市場から株が買い占められ、浮動株がもうなくなっている。

空売りが大量に入っており、それを買い戻す必要がある(将来の買いがたくさん残っている)

 

の2点です。 

 

①株が買い占められている件

実はこの会社の株、買い占められています!

今年初めから馬場信治さんという方が鬼の勢いでここの株をひたすら買い占めており、資産管理会社である有限会社エス・ビーアセット・マネジメントと合わせて1月21日時点で15.05%だったものが、3月時点で22.48%まで増えており、単純計算でも市場から7%以上、株式にして400万株以上が市場から消えた計算になります。
こちらを御覧ください。

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SBIによれば浮動株は800万株程度に過ぎませんので、ただでさえ浮動株が少ないなかで市場から株券が枯渇する勢いで買い上げてることがわかります。(ちなみに発行済み株式総数は5400万株ほど)

 

では、その馬場信治とは誰なのでしょうか?

調べてみると、彼は東京個別指導学院の創始者であり、前社長であることがわかります。しかしネットで調べてもあまり情報が出てこないんですよね。
顔写真でさえ出てきません。社長業自体はH22年に引退しており、現在は会社の中で役職を持っていません。
にもかかわらず、現在株券をひたすら集めているのはなにか理由があるはずです。もしかしたら、株主総会で一悶着起こる可能性があります。(後述)

 

このように、市場から株券を特定の誰かが買い集めて株券が枯渇するため、株価が異様に上がり続ける例はじつは去年もありました。6539日本ギア工業です。こちらのチャートを御覧ください。2014年11月から12月にかけて、それまで殆ど動きのなかったこの株の株価がひたすら上がり続けているのがご確認いただけると思います。

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当初、市場ではこの高騰を不思議がる向きがありましたが、その後の開示で謎が明かされていくこととなります。
株式会社成和の名前で出された大量の変更報告書には市場からひたすら株券を買い付ける姿がありありと記されており、最終的に発行株式の数%分(数えるの面倒だった、、、)も市場から買い付けています。

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板を見ていた人はわかるでしょうが、普段の出来高が50単位程度しかないスーパー閑散株でこれだけまとまった量の買い付けが断続的に入るとそれは上がるしかありません。

すべての売りを吸収していまい、一時期株価は急騰前の実に3倍以上になりました(驚きのパフォーマンス!)

で、なぜ購入していたのか。彼らは決して相場を自らで作って売却益を得ようとしていたわけではありません。(つかまります)この理解不能の開示は日本ギア工業本社からの開示でわかることとなりました。

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実は日ギアに対して、成和が敵対的買収が仕掛けられており、その買収を成功させるために、株券を50%以上保持して代表取締役社長以下取締役を追い出すことを目論んでいたのです。この経過がまためちゃくちゃおもしろいのでまたブログで書きたいと思っています。

 

とりあえずここで言いたいのは、普段はあまり意識されることのない株式総会での発言権を得るのために、市場から株が買い付けられる可能性があるということです。最近では、大塚家具のプロキシーファイトで話題になりましたね。

 


空売りが入りすぎている件

もう一つは尋常ではない空売りが溜まっていることです。

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とにかく溜まっている量が尋常ではなく、買い残りの8倍程度もあり、株不足が深刻なため非常に高額な逆日歩がついており、売り方にとって非常に苦しい状況が連日続いています。

空売りは必ず買い戻す必要があるので、将来の買いと私は見ています。空売りは買いでは買えないなーと思う高値でも買い戻さねればならないので、更なる高みを取る起爆剤になるのです。まだ、65万株の買い需要が残っていると言えます。普段の出来高的にも一日で捌けるものでは無いですね。既に売り禁になっているのでこれ以上空売りは増えようがありませんから、彼らが全員買い戻してしまった時天井かもしれません。

 

ですが、依然として猛然とした前社長の買いは続いており、まだまだ買いまくればますます市場から株券がなくなっていくわけで、値上がりにやっと気づいた人たちの買いともうヤバイかもっていう利益確定売りを吸収してしまう可能性も秘めています。

下がらない株はなく、上がったら下がるのは天下の条理。今まで買いをしていた主体が買いを止めればそこで相場が終わることが多いです。それは日本ギアのチャートを見てもらえば明らかです。過半数を取得したのちは買いをやめており、ついに株価は急騰前の水準に戻ってきました。おそらくこうなっていくのは明らかでしょう。。。

今まで無限に買い上げている主体がどこで買い付けをやめるのか板や動きを見ながら、今後のトレードに活かしていきたいですね。

ただここはベネッセが大株主なので、もしかしたら売ってくる可能性もありますね。今日はストップ高でかなり出来高を作ったので誰か大口が売っていた可能性があります。(ベネッセとは限りません。)

 

以上①②のような理由があり、ここまですごいチャートを作っているのではないでしょうか。

 

 

【おわりに】

この手の上げかたをするとよくインサイダーかもしれない、上方修正とかすごい材料があるかもと思われがちですが、私はないと思っています。なぜなら、はっきりと大量保有報告書を出し続けており、経営から退いたとはいえ、経営を知り得る立場にあり、上記のような理由で買っていれば間違いなく逮捕されることでしょう。

ですので、この不自然なまでの買い上がりは売却して利益を得るタイプの買い上げとは思いません。私は、前社長が経営に対し、なんとしてでも発言をしたいがための前社長の買い集めなのでないかと推測します。もしかしたら次の株主総会や臨時株主総会でなにか起こるかもしれませんね。

ただ、かつて社長が上場廃止前に株券を買いまくっていた例もありますから何が起こるかわかりませんね。なにを発言するかはさっぱりわかりませんね。(おそらく廃止後の社長の発言権強化のためだと思われます。)

予定枚数を買い終わればそこで買い上げも終了するはずので、かなり株価が高騰し、空売りの買い戻しも進んでいるなかでここから入るのはリスクは高いと思います。(^_^;) もはや前社長が買い終えるまでのチキンレースです。

一応決算発表日は4月8日、権利確定日は8月です。2月に一度権利確定していますね。

株価というよりは、東京個別学院の経営の動きに私は目が離せません!

 

では今日もHappy investing!

 

(追記)2015/03/20

西達ヤンさんから、前社長の写真らしきひとを発見したという情報をいただきましたので貼っておきます。

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記事元URL→

ameblo.jp

すごく若そうな方ですね。まだ色々と出来そうです。

 

(追記)2015/03/20

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※このブログは特定の銘柄の売買を推奨するものではありませんし、また、売買の結果生じた損失についても責任は負えません。