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なんひろの需給図鑑

あなたの理解できないその動き、ちゃんと'ワケ'があります!

【賛否両論!】謎多き"日銀のETF買いの"正体を考える~日銀の買いはどこに記録されるのか?~

こんにちは。

日経平均はあれよあれよという間に高値更新して15年ぶり高値。日本株はとどまるところを知りません\(^^)/

 

 

今日発表されたブラックロックの組み入れ報告。どれも冬から続く上げ相場の中で象徴的な動きをした銘柄であったのに気づいた人はどのくらいいたでしょうか?もしかしたらこの相場を作った『外人の買い』ってブラックロックだったのかも知れませんね。

 

 

 

さて、今日取り上げるのはこの相場のもうひとつの立役者、日銀のことです。

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日銀が異次元の金融緩和開始と同時に日本株ETFを買い入れを始めたのは衆知の事実でしょう。このETF買い入れ額が非常に大きいものであるために、日本株の相場は底支えされ、多少の下落はあってもアベノミクス開始以降8000円から20000円まで駆け上がってきました。

この株式のETF買い入れをやっているのは日本くらいなもので、実はFRBやECBでは行われていないオペレーションです。私は金利定価による企業への銀行貸し出しが十分に伸びないことを予め危惧した日銀による直接の資金供給(と、結果的には資産効果)を狙ったものだと考えていますが、詳しいところは専門家にお任せしますσ( ̄∇ ̄;)

 

さて、今回のテーマは日銀のETFの買いを捕捉するのがテーマです。毎週東証は投資部門別売買状況と言って、どの投資主体がどれくらい買ったか、売ったかを発表しています。その売買主体には実は日銀という主体はありません!
(知っている人には当たり前の話ですね。)

www.jpx.co.jp

では、日銀の買いはどこに計上されるのだろう?という疑問があります。

日銀の買いが計上されるとすれば、①信託②投信③銀行になりそうなものですが、どれだと思いますか?

私は ④自己(証券会社内部のディーラーなどの取引)に入ると考えています。
なぜ日銀の買いがどこに含まれるか気になるかというと、日銀の巨額の買い入れによってノイズが生まれており、どこに含まれるかを見誤ると正しく主体の行動を把握出来ない可能性があるからです。

日銀の買い入れには様々なうわさ、推測が流れており、日銀が公式発表してない以上、あくまで推測に過ぎないことを改めて言っております。
私の言うことが正しいとは限りませんし、また、他の方の考えを否定するものでもありません。
以下に述べることは私なりに限りある情報から推測したものです。一つの考えとしてお聞きください。

 

 ---

 

アベノミクス以降、この相場ではある水準まで日経平均が下げると日銀が出動しています。

そして、マーケットでも下げトレンドから突然上げトレンドに転換すると、日銀が買い入れているのか!?と話題になることも多くなりました。

 

 

 

日銀のETF買いがどこの投資主体に含まれるか突き止めるために、日銀がいったいどんなオペレーションによってETFを買い入れているのか考えてみます。

 

 

日銀が公式にETF買い入れ方法に関してきっちり言及しているのは『数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領』という長ったらしい名前の発表のみです。(ぜひ、読んでください。)以下、これを基本にしながら推測していきたいと思います。

指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領 :日本銀行 Bank of Japan

そして、私なりに考えてみたETF買い入れの流れが以下の図表です。

(2015年5月23日追記:厳密には日銀から始まる発注フローには運用会社は介在しないというご指摘を受けたので、指摘箇所を訂正しました。それに伴い図表と文章が一部差し替えられています。)

 

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Step①:ETF買い入れ発注の判断

まず、ステップとしてはETF買い入れを発注をするか/しないかを決める必要があります。

その発注基準は、
 
a. 日銀はマーケットの前場寄り付きと前場引けを判断タイミングとし、(判断タイミング)
b. 日経平均株価TOPIX、またはJPX400が、(対象)
c. 前場引けで前日比マイナス、または前場寄り付きが前日比"大きくマイナス"の場合、(判断基準)
 
日本銀行によるETF買い入れの発注を行う。
 
と私は考えています。
ただし、厳密な判断基準に関しては言及は避けます。日銀も発注基準に関しての言及は一切なく、私自身も出動基準はよくわかっていないからです。年間の合計買い入れ可能額によって日銀も出動基準を変えているようで、当初は-1%超えで出動のようでしたが、今では前場引けでマイナスであればどんどん買いに来ていますね。あと寄り付きがかなりのマイナスであれば、前場から入っているのかな、って時があります。(真偽不明)→なので、”大きくマイナス”の表現
 
なぜ後場で判断しないのか、後場から下げ始めても日銀が入ってこないのは、後場からの発注は間に合わない説を主張します(笑)
日銀の中でもETF買いの指示は銀行内で決裁が必要な可能性があります。また、どこの証券会社に発注し、さらに発注を受けた証券会社が準備をするまでにさらに時間がかかるため、後場の値幅を見て発注するのでは、間に合わない可能性があるからではないでしょうか。
 
 
Step②:信託銀行への買いの発注
そうして◯◯億円買っておいてねという日銀のETF買いは信託会社へと発注されます。(現在では一回のETF買い入れ額は360億円です。)日銀のETF買いの受注先は入札制によって行われます。日本銀行が2015年2月2日に発表している資料ではETF購入の受託者は三井住友銀行が0.0044BPSの手数料で落札したと発表しています。

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参照:

オペレーション等の受託者公募・選定 :日本銀行 Bank of Japan

なので、日本銀行からのETF買いの注文はまず信託銀行(三井住友信託銀行)にいくことになります。

 

Step③:信託銀行から指定参加者への発注

 

発注を受けた信託銀行はその額分だけのETFを用意する必要がありますが、信託銀行自体はETFを運用、発行はしていませんから(資産管理のみ)その額分だけのETFを証券会社(指定参加者、自己部門)に買い発注をします。(ちなみに日銀が買い入れるETFの種類は予め決められているようですが、発表はありません。)

 

そして発注を受けた証券会社は市場内からETFを買うのではなく、証券会社の自己部門ETF組成するための構成銘柄の現物株を発注します。即ち、既存のETFを買うのではなく、新規にETF組成するわけです。ETF発行のためには現物株の裏付けが必要なのでそれを調達してもらうように頼むわけです。集めた現物株を運用会社(投信)に持ち込み、ETFと交換してもらいます。

この辺のETF組成の仕組みについては難しいと思いますが、投資信託協会が解説してくれていますのでここに引用しておきます。

f:id:nyanhiro:20150522024011j:plain

 

株式拠出型ETFではまず、指定参加者(証券会社や機関投資家など)が市場で買い付けた現物株の集合(現物株バスケット)を運用会社に拠出し、それをもとに運用会社がETFを設定し、指定参加者は、運用会社よりETFの持分を示す「受益証券」を受け取ります。簡潔に言えば、指定参加者は、持っている現物株バスケットと、ETFを交換していることになります。逆に、指定参加者は、持っているETFと、現物株バスケットを交換することもできます。

現物株バスケットとETFは相互に交換できますので、本質的な価値は同一となり、現物株バスケットの動きとETFの価格の動きは連動します。例えば、現物株バスケットがすべてのTOPIX銘柄で構成されていれば、その現物株バスケットと交換できるETFTOPIXに連動することになります。

指定参加者に対して発行されたETFの受益証券が、証券取引所に上場され、一般の投資家は、上場されたETFの受益証券を市場で購入したり、売却したりすることでETFの取引を行います。

参照:ETFの仕組み - 投資信託協会

 

 

Step④:証券自己による現物株の市場からの調達

 

そして、発注を受けた指定参加者(厳密に言えば証券会社の自己部門)はETF組成のために必要な現物株を市場から調達を開始します。厳密に言えば、すでに自己部門が保有している現物株を引き当てることもあると思います。なので足りない分の現物株を市場から調達します。

ここで初めて市場とのコンタクトが発生します。日銀の発注からここまで幾度のStepがありましたが、ここに至るまで市場とのコンタクトが無いことは注目すべきことです。(後述)

これが市場参加者の目には「日銀が来た!」という動きとなって見えると考えています。発注を受けた彼らがこぞって安く現物株を買い集めようとするために、(そして発注額分だけ必ず集める必要がある)、日経平均が底上げされ、値下がりしていた日経平均が上がるというのが、いわゆる"日銀介入"の仕組みだと思います。

 

ところで、なぜ彼ら(自己部門)はわざわざ現物株を安く集めようとするのでしょうか?構成銘柄を引け間際にまとめて一気に買ってもいいわけです。それは日銀の買取価格が関係しているからだと思います。

日銀のETF買取価格については公式に発表があり、こういう記述があります。

 

5.買入価格

原則として、金融商品取引所における売買高加重平均価格または当該価格を目途として受託者が取引する価格とする。

 なので、ETFを加重平均価格(VWAPコスト)で買っているのは間違いないのですが、前場のVWAPなのか、後場のVWAPなのか、終日のVWAPなのか、と厳密な価格は言っていません。ですが、私は後場のVWAPコストETF買い取りだと思っています。なぜならば、前場のVWAPはありえないとして、日通しのVWAPであれば、後場から集めだした場合、受け回し時にマイナスになる可能性があるからです。(勿論後場で集めたとしてもマイナスになる可能性はあるが...)なので私は後場のVWAPでの受け渡し説を主張します。

 

 

以上のような買取価格上の決まりから、後場のVWAPを睨みながらできるだけ安く市場から現物株を集めようとします。なぜならば、現物株の値上がりが彼らの利益の源泉ではなく、日銀の引き取り価格(後場VWAP)と調達コストとの差(アービトラージ)が利益の源泉である、即ち、買い取り基準価格より安く集めれば、それが自己部門の+αの儲けとなるからです。彼らは現物株を集める傍ら、リスク中立化のために先物を売ってヘッジすると思いますから、これも自己部門先物売りの増加として表面化している原因だと思っています。

 

Step⑤:証券会社から現物株の運用会社への引き渡しと投資会社のETF組成、信託銀行へのETF引き渡し、信託銀行の日銀へのETF引き渡し

こうして証券自己部門によって集められた現物株はETF組成のために必要な分をETF組成する運用会社に引き渡されます。この取引は市場では出来ませんから、市場外取引で行われるはずです。この時にヘッジしていた先物の売りはOTC相対取引)で決済されると思います。

 そして運用会社は現物株バスケットをもとにETFを発行して証券会社に受け渡し(市場外取引)、次に証券会社は信託銀行に発注額分のETFを受け渡し市場外取引、最後に日銀から委託を受けた信託会社が発注額分のETFを市場外取引で渡して完了です。(日銀の公式発表では夕方ごろに買い入れ額が発表されますが、この立会外の取引は大口約定結果として確認出来ます。)日銀は信託銀行に報酬とETF額分の支払いを終え、初めて買い入れが終了するのです。

 

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以上のような何段階にもわたる動きがあり、日銀のETF買い入れは完了します。約360億円のETFの買入するのにも大変なわけです。

 

以上のようなプロセスの存在を考えると、結果的に日銀のETF買いは証券会社の自己部門に記録される可能性が高いと考えています。なぜならば、東証を通じた市場との接触は証券会社の自己部門による現物株の買いのプロセスのみであるからです。計上される数字が買い入れ額と一致しないのは自己部門による独自の売買と、引き当てる現物株すべてを市場から調達しないからです。
ぜひ、数字での厳密な検討が行われることを望みます^^

 

なお、再掲ですがこれは完全に私の憶測に過ぎず、他の方の考えを否定するものでもありません。
日銀関係者もそこまでに関心も高く無いと思いますし(ましてや一般市場関係者なら...)、知っていたとしても公開しないでしょう。

 

では今日も、Happy Investing! :)
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