なんひろの需給図鑑

あなたの理解できないその動き、ちゃんと'ワケ'があります!

日本の誇る楽器メーカーに忍び寄る韓国企業の影

また一つ面白そうな企業を見つけました。

<7952>河合楽器です。
もしかしたら韓国のライバル企業による買収やTOBを含めた経営への発言の可能性があるかもと思い、取り上げてみます。

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まずはチャートを御覧ください。前回に引き続き、美しい陽線続きのチャートの形が11月から12月までと3月に2回出現しています。

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河合楽器といえば音楽をやっている人ならお馴染み、やってなくても名前くらいは知っている有名な楽器メーカーですね。世界に誇れる質の高いピアノを製造しています。(ピアノ生産シェア世界第二位!)
 
さて、先日この河合楽器の株式を密かに買い集めている主体がいることが明らかにされました。三益楽器という韓国の楽器メーカーが市場から株を集めていたのです!
 
昨日、3/23付けの大量保有報告書(厳密に言うと変更報告書)をご覧ください。
2月末から継続的に市場から取得を続けており、提出時点で保有比率は7.28%となっています。

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投資目的は「純投資」でありますが、純投資から政策投資に発展することは果たしてあるのでしょうか?
自分の記憶だと〈2588〉ウォーターダイレクトにおける光通信ですかね。上場後第三者割当増資でひょっこりと大株主に顔を出した光通信が保有量を増やし、最終的にTOBをしていましたね。(ただ、このケースは市場ではなく会社から株を割り当てられているので一概に比較はできません。)
 
この三益楽器、かなりの成長志向の企業と見受けられ、世界中で楽器メーカーを買収しており、もしかしたら河合楽器もそのターゲットの一部になっている可能性があります。

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(サミックホームページより http://www.samick.jp/about.html

blog.goo.ne.jp

実は大量保有報告書への初出はこれではなく、昨年の12月に遡ります。当時も着目していましたがその後アクションがなかったのでもう買うのはやめたのかな思っていましたが、しばらくの時をあけて再登場です。
ところで三益楽器(ブランド名サミック)を知っているか、回りの音楽をやっている友人に聞いたところ、誰も知りませんでした。日本ではあまり有名ではないようですね。
日本ではギターを中心に楽器を販売しているようです。

SAMICKJAPAN(サミックジャパン) OFFICIALWEBSITE PRODUCTS【エレクトリックギター】Greg Bennett

 

一方で河合楽器は、ここのところ業績は低迷しており、学研と業務提携をして教育関連へと力をいれようとしてますが直近では下方修正を発表するなど、依然として業績がよくなるビジョンが見えてきません。
同社は未だ世襲経営を続けており、将来の成長に向けて何らかのアクションが会社内部からも起こってくる可能性も考えられます。

 
もし、河合楽器資本提携がしたいのであればわざわざ市場から買い集める必要はなく、堂々と会社と交渉して割り当て増資なり株式交換をすればいいわけで、株式市場でわざわざ買い付けに来ているところに何か後ろめたさを感じます。
三益楽器が株主総会でどうのこうの言うことは考えにくいので、株券を集めているのは何らかの意図があるのではないでしょうか。
ましてや同じ楽器メーカーですから、相手メーカーによる無言の市場からの買い付けは警戒せざるを得ません。
一番あり得そうな展開は、発言権を盾に経営に対し何からの発言があることでしょうか。
おもしろいなという展開は、資本参加や買収を含めたTOBへの発展です。
ただ、市場から集めることは不可能ですので、その場合は堂々とTOBないしは買収発表をするでしょうね。
 
よし、寄り付きで買おうと思った方、手出し無用です。
最近の河合楽器の動きは三益楽器が買っている間は上がり、買ってないときは下がっていますから(あくまで推定ですが...)、この高値圏で梯子を外されれば上がっていくのは難しいかもしれません。一応空売りはかなり入っていますが取り立てて言うほどでもありません。
一方で空売りもまだまだ買い上がる可能性も考えられるので、簡単に踏み上げられる可能性があります。なので手出し無用。
限りなく可能性の低いゴタゴタに期待するより、おとなしく日経225採用銘柄を買っておいた方がよっぽど儲かるかと思います。笑
ただ、時価総額は未だ200億程度で貸借でもあるので、何か起こったときは妙味がありそうですね。大塚家具のスタートも200億程度でした。事が起こってから入っても十分に間に合うのは大塚家具が証明しています。
 
死にゆく楽器メーカー周りの動きにも注目です^^
 
 
【さいごに】
 
浮動株と買い占めの関係を2本続けてお送りしましたが、今回はそれが局地に至った話で締めたいと思います。

 

時価総額世界一はフォルクスワーゲン-史上最大級の踏み上げ相場 | 投資経済データリンク

 

リーマン・ショックが起こり、世界中の景気が悪くなることが予想される中で、世界中のヘッジファンドが(今はもう出来ないと思いますが)手当てのない空売りVWに対して猛然と行いました。

そしてある日突然、ポルシェが密かにVWの株式を取得していたことを発表し、その空売りのポジションが浮動株を越えて溜まっていることが発覚したとき、一斉に買い戻しに走ったという話です。

もはや言い値で買うしか空売りを解消することが出来ませんから、株価は暴騰し、時価総額世界一になったそうです。
(その後、壮絶な往って来いを演じたそうですが...w)
 
株券は発行されている量と、市場で流通している量は別です。
市場にある浮動株と将来の買いポジションの量を意識すると企業の株価の動きをまた違った目線で見れるかもしれませんね。
 
では、今日もHappy Investing!
 
※このブログは特定の銘柄の売買を推奨するものではありませんし、また、売買の結果生じた損失についても責任は負えません。